【春高バレー直前】「歴史を元に戻すという、選手たちの強い気持ち」佐賀商業男子バレーボール部 中村 友彦 監督
高校バレーで誰もが憧れる舞台“春高バレー”。その切符をかけた第77回全国高校バレーボール選手権大会佐賀県大会が開催され、佐賀商業が悲願の優勝を果たした。
本特集では、県大会での戦いや春高バレーへの意気込み、佐賀商業の強さに迫った深掘り記事を4記事に分けて紹介する。
第1弾では、中村監督にチームづくりや春高に向けての想いを取材した。
中村 友彦 監督
ーー今のチームは1年生の頃から試合に出ていたメンバーが多いと思いますが、今のチームスタイルは元々思い描いていたチームの形になっていったのか、それとも選手たちの成長によって紆余曲折あって今のスタイルになっていったのですか?
難しいですけど、どっちもあると思います。言われた通り、今のメンバーはほぼ1年生の時からほとんど変わってないということで。その中で、全体的に成長は続けていると思いますが、チームの戦術、スタイルは基本的に彼らが1年生の時から言っている事と大きく方向転換はしていないと思います。同じ流れで、3年前に決めたテーマに沿って大体やれているのかなと。
ーー彼らが入学する前の佐賀商業とはまた変わったスタイルということですか?
もちろん、試合に出るメンバーが変わると、その子ども達の特徴に応じて、やっていくバレーというのは変わっていきますし、現3年生は力強く打てるという1番良い特徴があるので、1年生の時からそれを活かせるバレーをずっとさせてるといった感じです。
ーーチームとしてのテーマを持って取り組まれてる中で、先生側の意図が伝わりづらい場面も高校生の部活は多いのかなと思います。何か意識していることはありますか?
そうですね。こっちの意図することと、生徒が考えてることのずれっていうのはやっぱり今の時代は特に起きやすいのかなと思うんですよね。だからそこをどうやって近づけていくかっていうところがやっぱ難しいですよね。仮に昔の自分だったら、自分が作った教科書に沿って、そこに近づける作業をすると思うんですけど、今の時代はそうじゃなくて、その元々のその指導者の考えはあるにせよ、やっぱり生徒たちがこうしていきたいっていうところもあるから、ちょうどそこを近づけていく作業っていうのは、これは常にこうやってきた感じがします。全部こっちの言うことを全て聞けっていう感じではないですね。このやっぱり、この三年間でやっぱり色々、その技術的な特徴も多少は変わってきますので、そういうので、多少はその方向転換しながら、最善の策を生徒と共にこう探ってるっていう感じです。
ーー竹下キャプテン、川原副キャプテン、二人はチームの中心だと思いますが、監督から見た二人は?
そうですね。特にキャプテンの竹下についてはすごくクレバーな子なので、あと真面目さがあるから、ずっとこう黙々と練習に取り組む姿勢っていうのは同級生から見ても、特に今は三年生ですから後輩たちから見てもお手本になってるのかなと思いますね。今のチームのカ自体のことをいうと、キャプテンと副キャプテンに依存したチームじゃないんですよね。みんながどこからでも打てるっていうのが特徴なので、特にそのキャプテン副キャプテンに依存した感じじゃないんですけど。副キャプテンの川原も強くガツンと強く打てる一人なので。そういうのでも貢献してくれてると思います。キャプテンが、もちろん引っ張っていますけど、あんまり後のみんなが引っ張られてるメンバーっていう感じのイメージよりも、下級生も含めて、みんなで役割なく頑張れてるチームだなと思いますね。
ーー佐賀商業のバレーの強さの土台には何がありますか?
やっと全国に行き始めたのが、今の3年生が2年生の時のインターハイからなんですね。だから今3回連続全国に行ってるんですけど、それまではやっぱ4、5年ちょっと行けてないんですよね。ずっと2位止まりで。だから、今の3年生が「佐賀商業の歴史を元に戻す」っていうテーマで入ってきてくれてるんですよ。だからそれをやっぱり、体現してるなっていう感じですよね。だから土台は、今の強さ、これを強いともし呼ぶなら、この強さの土台はやっぱり、自分たちの代で歴史を元に戻すっていう強い気持ち、選手たちのそこかなと。決意があるから行動にでたりとか、親元離れて寮に入ってますから、ほとんどが。そういうところが一番の土台かなと。
ーー予選決勝は3-0でストレート勝利でした。振り返ってみていかがですか?
うちの良さも悪さも出たなと思いました。全て想定内ぐらいの感じです。良いところも悪いところもずっと見てきてますからね。その想定外のことは特になかったかなと思います。 戦う前から、佐賀学園さんとはある程度競るかもしれないと思ってました。競った中でこう取りきるのは、やっぱりエースが力強く打ち切るっていうところがやっぱり出たのかなと思いました。そのちょっとした差が出たのかなと。
ーー春高のためにこれから何が必要だと考えていますか?
もうあと三週間ぐらいですかね。一番大事なのは、ちょっと月並みではあるんですけど、やっぱり子供たちのこの大会で勝ちたいっていう気持ちかなと思うんです。
そこを強く持つことがやっぱり何より大事だなと思います。最後はやっぱり子供たちがその全国大会への出場権を得たということではなくて、やっぱり全国大会で目標のベスト8以上に行くっていう強い気持ち。こういうところがやっぱり一番大事かなと思うんですね。だから今、その試合の前の時期なんで、そういう姿でやってほしいなと思います。なんかやりきった感はいらないなと思います。何もまだしてないので。まだまだここからですね。
ーー春高をどんな大会にしたいっていう思いはありますか?
そうですね。監督としては、特に3年生はやっぱり勝たなきゃいけないって重圧をずっと与えてきたので、やっぱりそこはちょっと監督としてはやっぱりかわいそうな思いさせてるなって思うんですよね。なので、今までこうやってきた練習を最後は楽しく戦って、ベスト8までつなげてほしいっていう思いです。