15歳でU18の日本代表に カヌーで世界の頂点めざす高校生 花岡ゆらら選手
シリーズでお伝えしているかちスポ。今回は「水上のF1」と呼ばれるカヌー競技です。神埼市に15歳にして18歳以下の日本代表に選ばれた高校生がいます。一度は競技をやめるほどの挫折を味わいましたが今、まわりの支えで大きな飛躍を遂げています。
水面に浮かぶゴールにむかいより速く、ただひたすらにパドルをこぎ続ける…目指すは日本・世界の頂!
【花岡ゆらら選手】
「私はワールドカップやオリンピックで活躍する選手になりたいです」
毎年インターハイや国体で上位に入賞する強豪・神埼高校カヌー部。
ことしの春、カヌー名門校の門をたたいたのは…
18歳以下の日本代表カヌー界のニューヒロイン花岡ゆらら選手15歳です。
【花岡ゆらら選手】
「先輩たちが楽しそうにこいでいて、自分は水きらいだったんですけど、それでも楽しそうと思いました」
地元福岡県で7歳の時に出会ったカヌー競技。
たまたま近くの池でやっていたため興味本意で始めましたが、持ち前の運動神経でぐんぐん上達し、小学4年生で全国の頂点に。
絶対的な自信をもち挑んだ中学初の全国大会。結果は…まさかの予選敗退でした。
【花岡ゆらら選手】
「決勝にさえ上がれなくて、それがショックで、勝てなくてそれが苦しくて1度やめました」
しかし「このまま辞めてたまるか」と自宅から車で片道1時間以上かけて筑後川に向かい、1人でカヌーと向き合う日々が続きました。
【花岡ゆらら選手】
「戦う相手がいないということが、こんなに寂しいんだなと思って」
競技を辞めた後も、一人孤独な練習を続けていた花岡選手に声をかけたのが恩師の園田監督でした。
【神埼高校カヌー部 園田里志監督】
「寂しそうだったんでですね、カヌーの仲間として一緒に練習をやりましょうという感じでしたね」
園田監督率いるジュニアクラブの一員となった花岡選手。
技術指導を受けたことで飛躍的に上達し、翌年の全国大会で準優勝。
去年の世界大会では17位の記録を残しました。
そして今年はまだジュニアの年齢、15歳で18歳以下の日本代表に選ばれています。
飛ぶ鳥を落とす勢いで迎えた今年5月の県高校総体では1年生ながら先輩たちを振り切り見事優勝。インターハイの出場権、さらに国スポへの内定を勝ち取りました。
【花岡ゆらら選手】
「インターハイの獲得権?を得られてうれしい気持ちでいっぱいです」
冬場のオフシーズンにトレーニングするマシーン「エルゴメーター」でその力を測ると、花岡選手のパドルをまわす速さ「回転数」は100メートルで135回。
【神埼高校カヌー部 園田里志監督】
「最大の魅力はダッシュがはやいのでマックスワットが314もでてるんですよ。男子選手と争っている」
同じ条件で筋肉自慢の記者が全力で挑戦すると…
すべての数値で花岡選手をはるかに下回り惨敗です。
幼少期からの経験で培った「水をつかむ力」。
毎日20キロをこぐ練習で身に着けた「回転数」が彼女の武器です。
Q堀「自信がある?」
【花岡ゆらら選手】
「ありまくりですね」
【神埼高校カヌー部 園田里志監督】
「外側の大きな筋肉はすばらしいんですけど、コントロールする体幹だったりインナーマッスルがまだまだ弱いということで、日本を背負って立つ選手にならないといけない選手だと思っているのでコツコツやっていってほしいなと、それさえできればオリンピックも見えてくるかなと思っています」
実践型のトレーニングだけでなく肉体改造にも力を入れさらなる高みを目指します。
【花岡ゆらら選手】
「きついですけど自分のためになると思ってがんばれてます」
カヌー留学で佐賀に来た花岡選手。
肉体改造にもっとも大切な食事は近所にある旅館の女将などが、毎日の夕食から学校のお弁当まで全力でサポートしています。
【花岡ゆらら選手】
「いつもお弁当のフタを開ける度に感謝だなと思って、食事の面でめちゃめちゃ支えられています。優しくて見守ってくれているので2人は佐賀のお母さんですね」
【旅館の女将】
「明るいお嬢さんで全然気を使わなくていいとですよ。日本一になってゆくゆくはオリンピックに出てほしいです。たのしみです」
ハードな練習と慣れない家事…
初めの1カ月は寂しく母ひふみさんと毎日電話していました。
【母ひふみさん】
「塩分とって、水分とって、熱中症に気をつけて」
家族や佐賀で出会った多くの人に支えられ、日本そして世界の頂へ。
まずはインターハイと国スポに挑みます。
【花岡ゆらら選手】
「インターハイと国スポでは、200メートル種目で両方優勝を目指します」
花岡選手は17日からブルガリアで開催されるジュニア世代の世界大会に出場します。
世界の舞台で大きく成長してインターハイや国スポでも活躍してほしいですね。